インドカレー屋に行ったはずなのに、なかなか日本を出られない店「コピラ」
半径300mというせまいエリアで、100%個人的な視点でおススメの店を紹介する『半径300mグルメマップ』。記念すべき第1回は、東京都大田区の池上。
記事執筆者の家の半径300mというせまいエリアで、100%個人的な視点でおススメの店を紹介する『半径300mグルメマップ』。記念すべき第1回は、東京都大田区の池上。大田区は、東京23区で一番大きく、高級住宅街として知られる田園調布から、下町ロケットのモデルとなった町工場まで、幅広い表情を持っています。
そんな多様性をもった街だからか、様々な国のレストランが多くあります。
例えば有名な蒲田の羽根つき餃子、最近ではインドカレー屋さんも多く見かけます。
そんな中でも極め付きの変わり種。池上通りから観音通りを少し入ったところに位置するインドネパール料理のお店「コピラ」をご紹介します。
ここに通うようになったきっかけ、それは、ランナー仲間といつものように、かなり長い距離を走った後、猛烈にビールが飲みたく、空腹を感じていた際に、Y氏に「おもしろいカレー屋があるんだ。行ってみないか?」と誘われたこと。
その時の僕は「インド料理って、酒のつまみに向いてないですよね?つまみって、タンドリーチキンくらいしか思い浮かばないし…」。
Y氏はにやりと笑って「とにかく面白いから。いろんなわがまま聞いてくれて、そして何よりうまいから」と、そんなやり取り。
四、五年前のこと。
Y氏に連れられ、スパイスの香り漂う店内に足を踏み入れると、ジモトの皆さんで賑やか。席に着くとすかさず、隣の顔なじみに突然話しかけられるY氏。
「おいおい、この店、全員知り合いなんじゃないか?」
Y氏は「じゃあ先ず生ビール2つと、トマトサラダ。あ、ゆで卵も乗せて。で、今日、納豆ある?」
社長(オーナーはこう呼ばれています)は「あるかな?無かったら買ってくるよ」と。
「じゃあ、納豆も」
な、納豆??で、出てきたのがこの2品。
特に納豆はランナー仲間のお気に入りだそうで、フレッシュな角切のトマト入り。食感が面白い一品。
「なんで?カレー屋で納豆なんですか?」
「いや、オレ、和食が好きだからさ」
「いや、そういうことじゃなくって…」
メニューを見ると、豚肉ショウガ焼き、豚肉のキムチ炒め、明太子ポテト…。
その間もY氏は、ガンガン飲んでいます。
「社長、後、なんか今日いい感じのある?」とY氏。
「あるよ、イカバターは?」
数分後。
「イカバター、うまー。でも、しかし、まだ、僕ら日本出ていないですよね。インド行かないんですか?」
「いいんだよ。日本から出なくて。それに、さっきカレー屋で酒は飲めん、と言ってたじゃないか?」
「でも、カレーとか食いません?せっかくだし」と僕。
「いいけど。俺は食べないよ」
「えっ」
この滅茶苦茶なやり取り。
「ボトル出してくれる?」とY氏が言うと、出てきたのは何と麦焼酎「かのか」。
もう頭がクラクラして。
「社長、せっかくだから、タンドリーチキンをください」と注文すると。
「タンドリーポークもあるよ」
「え…。だって、ポークって、いいの??」
「でも、やっぱりチキンで」と、弱気な僕。
すでに1時間半、やっと、インドに辿り着きました。
すっかりカレーモードな僕は、バターチキンカレーを注文。
麦焼酎の水割りで、ナンをつまんでカレーを食う。このカオス感。
いやー、うまい。ここほんと、トマトサラダも、トマト納豆も、イカバターもタンドリーチキンも、何食っても旨い。
香辛料の香り、痺れる辛さ、そしてアルコール。強烈な酔いが回ってきた僕は、もう、どれ食っても旨いし、何料理屋だとか、どうでもいいや、と思い始めた。
もしかしたら「これがコピラの魔法かもしれない」と気づいたのは後日。
今もコピラにはちょくちょく通っていますが、夏は枝豆や自家製浅漬け等、まだまだ底が見えません。このほかにも、スパゲティ(パスタとは言わない矜持)やピザも。タンドリーの中、ナンの隣で焼かれたピザ、論理的に考えりゃ、そりゃうまいはず。
Y氏が最近発した「やー、コピラのトンカツ食ったら、他で食えないよ」が、最近の僕をザワつかせています。
是非、お近くに来られた際には訪問して、本能に耳を傾け、カレーという概念にとらわれず、勇気を出して、その瞬間に食べたいと頭に浮かんだ料理を、ワガママに社長に伝えてみてください。
- コピラ
- 東京都大田区中央3丁目7-9
- TEL:045-264-8338
- 営業時間:ランチ 11:00〜15:00 / ディナー 17:00~22:00(LO 22:00)