~こんなパン屋がある街は幸せだ~ 約100年続くパン屋さん「サンドウィッチパーラーまつむら」
日本橋人形町 懐かしくも新しい絶品パンとコーヒーでくつろぐひと時はいかが?
記事執筆者の家の半径300mというせま~いエリアで、100%個人的な視点でおススメの店を紹介する『半径300mグルメマップ』。今回は、伝統のある東京都日本橋人形町です。
人形町と言えば、甘酒横丁など歴史と伝統が息づく街並みや、100年以上続く老舗の名店が多い街として有名。そんな人形町に住んでいる私が、毎日の生活になくてはならない店を紹介します。「サンドウィッチパーラーまつむら」。なんと大正10年創業のまさにジモトのパン屋さんです。
大正10年創業。創業当時から変わらぬレシピのクリームパンは懐かしさの中に丁寧で手抜きのない味
お店の創業は大正10年。この地で約100年続く超老舗です。
営業時間は朝7時から夕方6時までですが、どのパンも夕方にはほぼ売り切れています。中でも、お昼過ぎには売り切れてしまうのがお店の看板メニューの1つ、クリームパン。
13時ごろお店に行くと運よく残っていたので、店の奥のイートインスペースでコーヒーと一緒にパクリ。その間もお客さんが絶え間なく訪れ、「今日はもうクリームパン売り切れちゃったの?」という常連さんの残念そうな声が・・・。すいません。私が食べてます。
創業当時から変わらぬレシピで、イチから手作業で丁寧に練り上げるカスタードの味が絶品。上品な甘さがすっきりとしていて、軽い。1度に何個も買っていく人は、実は全部自分で食べてるんじゃないか?なんて勝手に想像するくらい、毎日食べたいと思う味です。社長に聞いたところ、毎日100個は焼いているそうですが、食べたい方はお早目に。
ずらりと並んだお店のパン。夕方にはほとんどが売り切れる。
水天宮の駅からすぐ。この地で約100年。1階にイートインと売り場、2階がパン工場。
店内の2階で焼いたパンがどんどん降りてくる。常時約100種類のパンを作っているそう。
見た目は地味だけどその美味しさにハマる。「ちくわドック」と「仲良しコンビ」
サンドウィッチパーラーまつむらのパンは他ではあまり見ない珍しいお惣菜パンが多いのも特徴の一つ。クリームパンも美味しいですが、実は私のイチオシはこの惣菜パンの1つ「ちくわドック」と「仲良しコンビ」。
「ちくわドック」はその名の通り、コッペパンの真ん中にウィンナーならぬ焼きちくわがドン。「仲良しコンビ」はふわふわの食パンの上に半分あんこ、半分はなんとピーナッツバターが塗ってあるパン。どちらも見た目がちょっと地味で、最初は「美味しいの?」と半信半疑で買えず・・・。
ところが、何度か迷わず購入するサラリーマンや若いOLさんの姿を見かけ、意を決して買って食べてみると・・・う、、うまっ!想像の斜め上を行くうまさ。
ちくわドッグ。真ん中に焼きちくわ・・・。地味な見た目に騙されるな!
「仲良しコンビ」。小豆とピーナッツ。「仲良し」のネーミングに納得のベストマッチング
ちくわドッグはお店に並んでまだ5、6年とのことですが、今ではすっかりお店の顔です。半分に割ったちくわの中にツナマヨが入っていて、ちくわとパンがこんなにマッチするのか!と驚くこと間違いなし。「仲良しコンビ」も食べてびっくり、あんことピーナツバターってなんでこんなに合うの?なんで今まで気が付かなかったんだろ・・・、いや、もうあんこにはピーナツバターしかない!とまで思ってしまうベストマッチな組み合わせです。後ろに切れ目が入っていて、パタンと半分に折り畳み、サンドイッチ型にして食べます。知り合いに食べさせるとみんな同じ反応。「なにこれ?うま!!」
2つとも騙されたと思って(?)迷わず食べてみて欲しい1品。
その他にも、「コンビーフロール」「ミートロール」「オムレツバーガー」などなど常時100種類のパンがあり迷います。そして全部美味しいです。(全部食べてないですけど、絶対美味しいに違いない。)パンが美味しいし、具材も手を抜いていない丁寧な味で、具だけで食べても美味しい。一見合わなそうな具材とも見事にマッチさせるセンスに脱帽。
ほかにもユニークな惣菜パンが並ぶ。100種類の中からお気に入りの1つを見つけてみては
イートインスペースもあるので、昼間は営業の合間に寄る方やOL、近くの水天宮にお宮参りに来た家族連れも多く訪れます。ちなみに、このお店のパンをお土産で買っていくと、意外に食いつくのが、袋。カワイイ!と評判です。
レトロなんだけど古くないデザイン。OLが小脇に抱えてもおしゃれ?
とにかく懐かしくて、ほっとする。そして飽きない。4代目がつなぐ、街の味。
このお店のパンはどれもそうですが、とにかく懐かしくて、ほっとする。そして飽きない。ホームページにも『安心』や『やすらぎ』を大切にしてパンを作っている事が書いてあります。
今は4代目という"パンおじさん"こと社長に話を聞きました。
「実は最近、お店の看板娘だった母や父が亡くなってしまって、ちょっと寂しいですけどね。」
少し前までお店に行くとニコニコして出迎えてくれた名物おばあちゃんとおじいちゃんと会えなくなって寂しいですが、今は代わりに2歳になる社長の息子さんが出迎えてくれる時も。
約100年もやっていると、当然お客さんも3世代で来る方も多いんだとか。毎日来て同じものを買っていくお客さんもいるそうです。昭和36年に喫茶スペースができた際に店名を『サンドウィッチパーラーまつむら』に変えたそうですが、昔からのお客さんには今でも「まつむらパン」と呼ばれているそう。
「大正の関東大震災の前に、創業者が『これからはパンだ!』と思って始めたらしいですよ。その当時はまだパンを扱う店もほとんどなかったみたいですね。クリームパンとあんぱんはその頃からのメニュー。当時と同じように添加物などを使わず、一日分づつ煮てますよ。業者さんとも古い付き合いだけど、みんな街にあるお店が多くて、変わらずそこから仕入れてます。」と社長。
「子供の頃から良く知っているおじさん、おばさんがお客さんなので、いつも来ているあの人が来ないと、どうしたかな?と心配になりますよね。逆に最近は、両親が亡くなって心配していただいたり・・・。その人たちが喜んでくれるようなパンを作ろうと思ってます。」
最後に、あなたにとってジモトとは?という質問をしてみました。
「ジモト?うーん、考えたことないな。いつもそこにあるからなあ 笑。でもやっぱり安心できる場所かな。落ち着くというか・・・。」
こんなパン屋さんがある街に住んでいて幸せだな、と改めて実感した取材となりました。皆さんもぜひこの懐かしさと丁寧な仕事を感じられる美味しいパンを食べに来てください。
社長とご家族。新しいものを取り入れながら街の味を守っていく
- サンドウィッチパーラー まつむら 人形町本店
- 東京都中央区日本橋人形町1-14-4
- TEL:03-3666-3424
- 営業時間:[月〜金]7:00〜18:00 /[土]7:00〜15:00
- 定休日:火曜日
- 公式サイト:http://sandwich-parlor-matsumura.com/