神奈川の魅力は横浜や鎌倉だけじゃないんです!数ある「隠れた名産」を、余すところなくご紹介中!
アンテナショップ探検隊、今回は東京を脱出!港ヨコハマにある物産・観光プラザ「かながわ屋」さんにお邪魔してきました。
アンテナショップといえば全国各地の自治体が、地元のPRとマーケティングを兼ねて都内に出店するのが一般的。したがって出店エリアも東京駅や銀座周辺に集中しています。一方、今回取材した「かながわ屋」さんは、東京ではなく神奈川の地元ヨコハマ。それも人気の定番観光スポットである「大さん橋」の目の前、山下公園に隣接したシルクセンター1階に位置します。近くにはマリンタワーに氷川丸、赤レンガ倉庫といった横浜の名所が連なり、観光客の足が途絶えることのないエリアです。このショップは神奈川県観光協会が県から委託されて運営している公式ショップ。2017年の秋、耐震補強工事に伴うリニューアルオープンを果たしたばかりとのこと。観光協会の加藤さんにご案内していただきました。
神奈川は横浜・横須賀だけじゃない!隠れ名品がザクザク
ところで神奈川県と聞いて、みなさんは何を思い浮かべるでしょうか。港町の代名詞であるヨコハマ・ヨコスカをはじめ、江ノ島に代表される湘南イメージ、三崎や真鶴といった漁港など、どちらかというと海の印象が強いのでは?
実際、変化に富む海岸線が400km以上にも及ぶ沿岸県ではあるのですが、地図を見ると箱根や丹沢など、西半分はかなりの部分が山地なのです。決して広くはない県土の中に臨海工業地帯や温泉やリゾート地域、大都会も大自然も併せ持つ、とても多彩な顔を持った県なんですね。
「そうなんです。それだけに観光スポット以外にも、魅力的な場所や知られざる名産品がたくさんあって、それをもっと知っていただきたいというのがこのショップの役割でもあるんですよ」と加藤さん。
店内を見回すと、予想していた「横浜名物・湘南名物のオンパレード」ではなく、どちらかというと普段あまり目にしない商品が多いのはそういうわけだったんですね。地元の人しか知らない隠れ名品の数々、まずはショップおすすめの商品を…。
「県内でも、地元の川崎以外ではあまりお目にかかれない大師巻という海苔巻せんべいです。おせんべいが見えないほど贅沢に海苔が使われていて、袈裟をまとったお大師様(弘法大師)の姿を表しているそうです」と教えていただきました。手作りなので数が限られているおり、なかなか出回ることがなく、わざわざ買いに来るファンが絶えないのだとか。「かながわ屋」でもお一人様二袋までの限定販売になっているので、残念ながら大人買いはできません。まさに隠れたヒット商品。
「お土産としては、こちらも大人気ですよ」と加藤さんが手に取ったのは「横浜ロマンスケッチ」というビスケット。さっくりとしたビスケット生地にバニラクリームをサンドした、どこか懐かしい味わいがクセになるのだそうで、自宅用に買い求めるお客様も多いそうです。ビスケット一枚一枚に横浜の名所のイラストが描かれているので、手ごろなお土産として観光客にも人気というのはよくわかりますね。
続いては、もうすっかり全国区の人気となった横須賀名物「海軍カレー」。かながわ屋さんでも専用コーナーにズラリと並べられていました。黄色い箱が目印の定番「よこすか海軍カレー」のほかにも、目移りしそうなほどたくさんの種類の海軍カレーがあるのにびっくり。でも、そもそも海軍カレーって……?
「明治期、日本の海軍はイギリス海軍を範としていました。そこで、イギリス海軍の軍隊食だったカレーを取り入れ、イギリス水兵と同様にパンにつけて食べていたそうです。ところが、どうもこれでは力が出ないということで工夫して、小麦粉を加えてとろみをつけ、ごはんにかけて食べたところイケる!となって定着していったようです。要は小麦粉を炒めて作ったルーを使う、日本流のカレーということですね」と加藤さんが解説してくださいました。
その伝統は戦後も海上自衛隊に受け継がれており、各艦艇ごとに独自のレシピが存在するのだとか。横須賀市には海軍の鎮守府が置かれ、現在も海上自衛隊の基地があることから「カレーの街」として街おこしに取り入れ、有名になったようです。
かながわ屋のカレーコーナーには海軍カレーをはじめ、カレーで有名な箱根の老舗ホテル「富士屋ホテル」のカレーなど、高級カレーもいろいろ揃っているのでカレーファンにはたまりませんね!
中華街有名店の小龍包は茹で用とフライパン用まで用意
さて、横浜と言えば中華街。横浜中華街は、かながわ屋から歩いて行ける距離にあります。最近の中華街名物は、何と言っても小龍包! ということで、やはり持ち帰り用の小龍包が大人気とか。中華街に5つの店舗を構える小龍包専門店「王府井(ワンフーチン)」の本格小龍包を、手軽にお楽しみいただけます。
日本に焼き小龍包を広めたと自負する王府井だけあって、同じ小龍包でも「茹で用」「フライパン用」「蒸し用」が揃っているので、忙しい主婦にとってはとても頼りになるラインナップですね。加藤さんのおすすめは「シンプルに茹でるのが簡単だしおいしいですよ!」とのことでした。
実は伝統工芸が多い神奈川。横浜スカーフから鎌倉彫まで
売場の横に目をやれば、なんだか雰囲気のあるアンティークな家具が。
「リニューアルで新しく設けられたギャラリースペースです。日本の洋家具の原点は横浜にあると言われているんですよ」と加藤さん。
このスペースを生かして元町の老舗家具店ダニエルの家具や、港ヨコハマの歴史を彩ってきたスカーフやステンドグラス、それに箱根寄木細工、鎌倉彫といった神奈川の伝統工芸品を展示しているのだそうです。そういえば横浜が発祥のものってけっこうありそうですよね。
県内に、地域によって多彩な見どころや名産品がたくさんある神奈川県では、「かながわの花の名所100選」や「かながわの名産100選」を選定していますが、工芸品だけでも20品目が名産100選に選ばれています。かながわ屋に来れば、そのほかにも数々の名産と出会うことができるし意外な発見もあるはず。
意外に多い!13の蔵元の日本酒が勢ぞろい。つまみも豊富!
意外と言えば、神奈川県内に日本酒の蔵元が13軒もあるって知ってましたか?
山間部が多い神奈川県では水に恵まれた地域が多く、その名水を使った日本酒にも隠れたファンが多いのだとか。「丹沢山」「箱根山」「大山」と、お酒の銘柄からも土地柄が感じられますよね。県内でも、13の蔵元のお酒が揃うのはここくらいではないかとのことですので一度、飲み比べてみてはいかがでしょう?
日本酒とくればおつまみですね。まずはお刺身。
三浦半島の三崎港と言えばマグロで有名ですよね。こちらでは大トロ、中トロ、赤身はもちろん、角切りや鉄火丼用、づけ丼用と三崎港直送のバリエーションん豊かなマグロのお刺身が手に入ります。中でも三崎港一筋という職人さん自家製の特製ダレに漬け込んだ「づけ丼」はイチ押しなのだそう。
干物で有名な真鶴からは、その名もずばり「真鶴干し」をチョイス。脂がのった新鮮なアジを厳選しているので、鮮度と旨味がギュッと詰まっています。10枚入ったお買い得パックが人気。
目を移すと・・・落花生!?
落花生と言えば千葉県が有名ですが、実はなんと日本の落花生栽培の発祥の地は神奈川県の相州地域なのだそうです。県西部の秦野・二宮・大磯で誕生した「相州落花生」から、日本の落花生の歴史が始まったのだとか。かながわ屋にも、たくさんのピーナッツ製品が並んでいます。
加藤さんのおすすめは、掘りたての新落花生を塩ゆでした、地元ならではの旬の逸品「ゆでピー」! 「実がやわらかくて甘みのある味わいがたまりません。お酒との相性も抜群ですよ」とのことですので、ぜひ一度お試しあれ。
おつまみとして加藤さんがおすすめしてくれたもう一品が「旨辛みそごぼう」。こちらは、旨辛みそとゴボウを炒りあげ、地場の青唐辛子を加えた足柄の特産品。ピリ辛の味噌味にゴボウのコクが加わって、お酒はもちろん、ご飯の友としてもピッタリの隠れた名品だとか。これは迷わずゲットですね!
神奈川が生んだ柑橘類「湘南ゴールド」商品も
辛いものの話題が続いたので、最後はフルーツ。
神奈川県には、県が独自に開発した柑橘類があります。
その名も「湘南ゴールド」。
これは、もともと県西部で栽培されていたゴールデンオレンジ(黄金柑)という品種に温州みかんを掛け合わせたもので、小ぶりですが独特の華やかな香りと強い甘みが特徴です。旬は3月から4月にかけて。市場に出回り始めて10年ほどのニューフェイスですが、かながわブランドとして育てるべく県を挙げて取り組んでおり、ビールやサイダー、エナジードリンクまでさまざまな関連商品が販売されています。神奈川に来たら、その爽やかさをぜひ体験してみてください。
かながわ屋では地場の朝採れ野菜など、生産者の顔が見える産直販売にも力を入れています。そのため、地元の方がリピーターとして来店されるケースも多いのだとか。すこし目立たない立地のせいか、他県の方にはまだまだ知られていないアンテナショップかもしれません。
加藤さんは「神奈川には横浜、湘南、箱根などの有名な観光地がたくさんあります。でもそれだけが神奈川ではありません。33の市町村すべてに魅力があることをこのショップを通じて発信したいですね」と語ってくださいました。取材を終えて、メジャーな観光地以外の知られざる神奈川の魅力、そしてかながわ屋さんを応援したい気持ちでいっぱいになった帰り道でした。