モノクロの線画なのに豊かな色彩とストーリーを感じる?!社員投票で選ばれた作品とは?
授賞作品選定と作家に出会うまで
こんにちは、なかのひと、スミです。
2024年10月19日から27日までの9日間、東京は江東区内の各所で、『アートパラ深川
おしゃべりな芸術祭(以下、アートパラ)』が開催されました。アートパラは、「共に生きる」をコンセプトに、障がいのあるアーティストたちの作品で街全体を美術館にするアートイベントです。ベルシステム24(以下、当社)は、フェスティバルスポンサーとして3年連続して協賛し、ボランティアにも参加しました。
アートパラは、新たなアーティストを発掘する目的の公募展を実施する年と、前年の公募展受賞作品を販売する年と、一年ごとに主旨を変えて開催しており、障がい者アーティストの認知と経済的な地位の向上のための機会を提供しています。
2024年は、公募展開催の年で、アーティストにとっては自身の名前を知ってもらうチャンス。そして協賛企業にとっては企業賞を選ぶ年でもあります。2年前当社の企業賞を受賞したDAIKIさんの作品では、レプリカを制作させていただき、本社カフェや休憩室など、全国8拠点に展示しています。DAIKIさんは、個展も開催するなど、大活躍されています。
今年のコンテストも953点もの作品が全国から出品され、多くのドラマがありました。当社の企業賞を受賞したのはどの作品になったのか?レポートをお届けします。
アートパラ2024 公式webサイト
https://artpara-fukagawa.tokyo/
地域住民ボランティアと企業がいっしょに作る芸術祭
アートパラは、「共に生きる」をコンセプトとし、深川とアートを愛する地域住民の手で作られる芸術祭。清澄白河、森下、門前仲町、豊洲の4エリアで、街そのものを美術館に見立て、障がいのあるアーティストたちの作品を街に解放します。実行委員の約80名はボランティアで構成され、企画から実行までを行っているそう。
協賛企業も協賛金を支払うだけではなく、ボランティアとしても参加しています。
今年のテーマは「わ」。「倭」の国で、「和」の心を重んじ、アートを愛する人々が連なり「輪」となり、対「話」を重ね、たくさんの「吾(我)」のアイディアと知恵を足し算(和)し、それが大きな力の「輪」となり、未来へ語り継ぐ「環」となる、といったいろんな「わ」の意味を含んでいるそう。壮大なテーマやね。
ベルシステム24の企業賞は社員投票で決定!
当社の企業理念は「イノベーションとコミュニケーションで社会の豊かさを支える」。
対話と多様性を大切にする当社にとって、今回のアートパラの「わ」というテーマは当社の理念と通じるところがあると感じます。そして、聴覚に障がいがあり、美大卒業後は作家活動を経て、当社でデザイナーとして20年間、企業クリエイティブを支えてきた私、スミも、この活動に担当者として関われることがとても嬉しい。
今年は全国から集まった953点の応募作品から、事務局により157点の入選作品が選ばれ、入選作品から協賛企業が各々の企業賞を選びました。応募数は回を重ねるごとに増え、前回と比較し1.7倍とのこと。活動の注目度がうかがえます。
審査では作者の情報(名前や年齢、性別、障害の種類や度合いなど)は伏せられ、作品そのものが評価されます。
当社の企業賞は、まずスミが「ベルシステム24らしさ」を想起させる作品を8点選び、その中から社員投票により決定します。社員投票という選定方法を実施しているのは、ベルシステム24だけだそう。 社員に広くこの活動を知ってもらい、その後も興味を持ってもらえるので、社員投票は一石二鳥の取り組みです。
候補の8作品は、企業理念や当社の企業文化として大切にしている「多様性」、そして当社がビジネスの上で今掲げている「新たな挑戦」、この二つを想起させるような作品を選びました。 綺麗だったり高い技術力を感じさせる素晴らしい作品も多く、悩みましたが、コンセプトに合わない作品は外し、5つくらいに絞りたい・・・と思いながら、悩みに悩んで、結果的に絞り切ることはできず、8作品になりました。
「ベルシステム24ホールディングス賞」は…
400票ほど集まった社内投票を経て、今回の当社の企業賞「ベルシステム24ホールディングス賞(以下、ベル賞)」は…
ダララララララララ・・・!(ドラムの音)
「猫の大冒険 嘗て(かつて)海だった森」
モノクロでありながら、当社が大切にしている多様性につながるカラフルな世界観が表現されていて、躍動感、ストーリー性を感じる可愛らしい動物たちの表情が魅力的であること、そして観る人が絵の中で新しい発見を楽しむことができ、コンセプトの「新たな挑戦」にマッチする「冒険」というテーマに共感が集まりました。
社員コメント抜粋
モノクロの線画で、いかにもカラフルな世界を描いているのが見て取れて、世界観の広さを感じた。
色彩はないのに絵で情景が浮かびました。
躍動感、ストーリーがある。
隅々まで精密な筆遣いで、一画面で世界観を表現している点に魅力を感じました。
猫が迷い込んだであろう森が海だったという驚きと海の仲間に出会えた嬉しさのストーリーが見えます。海の仲間たちは初めて見る猫にびっくりするけど、やー、いらっしゃいと歓迎する海の仲間たちの目が物語ってます。これはメルヘンチックなお話が1枚の絵として描かれていると惹き付けられました。
森の中に海の生き物がいるという不思議な世界観がとても素敵です。絵がとても細かく、いろいろなところに隠れている生き物を探したりずっと眺めていられるとても楽しい作品だと思います。
海だったところが森となり、海の生き物も森の動物たちも一緒に、そこでまた新たな冒険が始まるという、今までの常識を打ち破り、多様性に富んだチャレンジを感じさせる。
著名人も参加した授賞式。社員コメントも共有
アートパラの初日に授賞式を開催され、企業賞の授与のため参加しました。今回審査員を務めた林真理子氏や、いとうせいこう氏など、著名なクリエイターや俳優なども参加され、大賞や審査員賞の発表では、審査員の皆さんが一つひとつどのように評価したかを丁寧に話されていました。
全体の印象については、「今年もパワーはそのままに、非常に洗練されている。コンセプトもはっきり、色調を抑えているものも多く、訴えるものがあった。」と林真理子氏。
ベル賞に選んだ『猫の大冒険 嘗て海だった森』を描かれたサビー氏も大阪から来場してくださり、直接賞状をお渡しすることができました。スミも挨拶した際に、社員投票での社員のコメントを紙で渡したところ、興味深く見てくれました。サビー氏が出品するのは今回が初めてだそうです。
サビーさん、おめでとうございます。素晴らしい作品をありがとうございました。
後日、作品の見どころを聞きました。
この作品は「もしも海が干上がってしまったら、海の生き物たちはどんな風に生活をするのだろう」という疑問から「陸の上の珊瑚礁」をテーマに描きました。特に細部までこだわった珊瑚礁に注目してもらいたいです。
社長も視察。対話型アート鑑賞会にも初挑戦
毎年このイベントには、社長も参加しています。
ベル賞作品を含む入賞作品の展覧会場である深川不動堂ロータスホールでは、来場者に5枚の「いいね!」シールが配布され、気に入った作品、応援したい作品にシールを貼ることができます。集まったシールは作家に送付するそうです。社長も事務局の方に説明を受けながら、一品一品、真剣に鑑賞し、シールを貼っていました。
また、今回は初の試みとして、対話型アート鑑賞会も実施。対話型アート鑑賞(Visual Thinking Strategies(VTS))とは、1980年代半ばにアメリカのMoMA(ニューヨーク近代美術館)で開発された作品の鑑賞方法の1つで、参加者同士がその場で感想や想像を話し、対話を行うのが特徴です。アートを中心にグループで作品について意見交換をすることで、観察力、批判的思考力、言語能力などを高めるとして、近年ではビジネスシーンでも注目されています。
今回は社内投票で上位だった2作品を対象に、ファシリテーターの学習をした社員がリードし、参加者が感じたことや気づきを伝え、互いに受け入れあいながら、作品への想いや理解を深めていました。
参加者のコメント
これまでは主観での感想で終わっていたが、見方がいくつもあることに気づけた。
一つの作品をこんなに隅々までみたことがなかったので、あらたな発見が多くあったと感じた。
みんなの意見を聞いて、より作者や作品に対する想いを馳せたり、より深く感じることができた。
観る人にとっていくつもある解釈の一つ一つが、作品を彩る要素になっていると実感した。
真剣に、ときに笑いあいながら意見を交わす姿が見られ、会場にいたスタッフさんたちも興味津々で、初の試みは周囲も笑顔に巻き込みながら終わりました。
いかがでしたか?
当社がアートパラの取り組みに賛同し、協賛するのは3年目ですが、担当者として選考会、授賞式、対話型アート鑑賞会、ボランティアと、イベントを通して深く関わることができ、自己満足かもしれませんが、多くの方にこの取り組みを届け、心地よい疲労感も感じながら無事に終えることができたと思っています。
関係者のみなさま、ありがとうございました。
今年もボランティアにも参加しましたが、その話はまたお話しします。
この経験も胸に、今後も企業理念の実現に向けて、さまざまな取り組みに関わっていきたいと思います。