日本語レベルが採用基準に少し届かず⇒日本語と業務を学んで、お仕事デビュー。外国人卒業生とトレーナーにインタビュー!
多様な人材の活躍を可能にする就労サポート施設『SUDAchi』の挑戦とは。
こんにちは。ナツママです。
今月、ベルシステム24の池袋ソリューションセンター(以下、池袋センター)に、就労支援施設『SUDAchi』がオープンしました。
じつはこの『SUDAchi』、約1年前にテスト的に「トレーニングセンター」という名称で始まり、1年間活動を続けてきました。この度、施設名を『SUDAchi』に決定し、気持ちも新たにスタートを切りました。
『SUDAchi』は、従来であればスキルが足りないなどの理由で採用見送りとなっていた人材を採用し、業務に必要スキルを学んでいただいた後、実業務に就いていただくための教育支援をする施設です。これまでにない取組みは、先日、日経産業新聞でも紹介いただいた斬新なものです。
今日はそんな『SUDAchi』のオープンを記念して、施設紹介、そして卒業生とトレーナーへのインタビューの模様をお伝えします!
就労に必要な基本的スキルをOJTで学ぶ。就労支援施設『SUDAchi』とは?
「敬語が苦手でビジネスレベルでの対人スキルに不安がある」「PCのタイピングスキルが足りない」といった方が、業務の採用基準に満たない場合、通常は不採用になってしまいます。
しかし、『SUDAchi』では、そういった人材を〝就労準備者″として採用し、OJT(実務訓練)を含む研修を、「業務」として実施、在籍期間中は、給料が支払われる仕組みです。
基本カリキュラムは約80時間程度。個人によって異なりますが、通常約1か月ほどで、基本的なスキルが身に付けることができます。カリキュラムは一人ひとりのレベルに合わせてカスタマイズされており、当社の長年の「教育ノウハウ」が集約されたカリキュラムとなっています。
『SUDAchi』の名前の由来は、「巣立ち」から。そのロゴは、可愛らしい3羽の鳥と巣がモチーフになっています。
就労準備者にとっての巣立つ場所、また、なにかあった時に立ち返れる「古巣」のような場所になりたいという想いが込められています。
現在、池袋の『SUDAchi』で働きながら研修しているメンバーは7名。業務デビューに向け、皆さん真剣にカリキュラムに取り組んでいます。
需要が高まる多言語センターで活躍中の卒業生たち
『SUDAchi』の卒業生には、外国人メンバーが多いというのも特徴です。
『SUDAchi』がスタートした約1年前から現在まで、51名が在籍し、そのうち18名が外国籍の方とのこと。
「日本語の日常会話はできるが、読み書きのレベルが低い」、「日本語は読めるがPCでのタイピングができない」など、従来の採用基準では採用を見送られていた外国人を『SUDAchi』で採用、研修した後、主に多言語対応の業務に配属し、今では立派にセンターの一員として活躍しています。
2020年東京オリンピックまであと約2年となり、需要が高まる多言語対応のコンタクトセンター(以下、多言語センター)で活躍する卒業生。業務デビューまでの道のりはいかなるものだったのでしょうか?
今回『SUDAchi』卒業生で、現在は訪日観光客からの問い合わせ対応を、英語とタガログ語で行う、フィリピン出身のマヴェリックさんと、彼を『SUDAchi』で支えたトレーナーの成松さんにインタビューしました。
多言語センターに応募するも、一度は不採用になったマヴェリック。『SUDAchi』で約1ヶ月間研修を実施することに
ナツママ マヴェリックさんは、多言語センターに応募して、まずは『SUDAchi』から、ということになったんですよね。何を見て応募されたんですか?
マヴェリック SNSの 求人広告を見て、すぐメモして電話しました。コールセンターの会社で、フィリピンにもコールセンターのビジネスがいっぱいあって、親しみやすかったので。
ナツママ 成松さんは彼の最初の印象はいかがでしたか?
成松 まず採用担当から事前に情報を貰った時に、彼がすごく一生懸命で、がんばりたいという意思はあるけれども、日本語が片言だよ、というのは聞いていて。実際会ってみたら、すごくいい笑顔で、でもびっくりするぐらい日本語が片言で。(笑)10年くらい日本にいたんだよね??
マヴェリック そうです。(笑)
ナツママ 相手の話す日本語は分かるけれども、自分の言いたいことが正確に言えない状態?
マヴェリック そうです、それはあります。
ナツママ でも成松さん的には笑顔が印象的だったと。
成松 そうですね~。日本語は片言ながら、とにかくやる気があって、なにより笑顔が印象的でしたね。
ナツママ 研修中、一番大変だったことってなんですか?
マヴェリック 理解テストですね。
成松 何の?漢字??
マヴェリック そうです、漢字、漢字。
成松 あぁ!外国人の在籍生には、小学生の漢字ドリルをやってもらってて。1,2,3年生と、3,4,5年生を、在籍生のレベルに合せて渡してたんです。私たちも最近はタイピングで自動変換なので、漢字を書けないことも多いですけど、漢字難しいよね。大変だった?
マヴェリック 量も多かったし、大変です。大変でした・・・。(笑)分からないことはすぐ聞けたので、良かったです。
ナツママ がんばった成果はありました?
マヴェリック はい、日本語は上達しました。話すときも、ていねいな日本語を話す知識が増えました。
『SUDAchi』卒業後、さらに自主特訓を実施。その甲斐あってトライアルで業務デビュー
成松 じつはマヴェリックは、『SUDAchi』の研修後もすぐには仕事が決まらず、日本語も英語もビジネスレベルとしてはまだ足りない状態で。ただ、私たちトレーナーをはじめ、採用担当やセンター関係者も彼の人柄とやる気を評価していたので、お給料は出ないのですが、1ヶ月間の特別特訓メニューとして、さらに小学生向けのドリルや、ビジネス英語メールのやり取りに自主的に取り組んでもらったんです。
ナツママ え~、そうなんですか。マヴェリックさん、大変でしたね。
マヴェリック はい、でも家族のためにがんばりたかったので、大変でもがんばりました。
成松 英語の追加メニューは、多言語センターを担当するセンター管理者の方にも協力をいただいて、添削をしてもらったりとか。でもその甲斐あって、見事、今の業務でまずは1ヶ月、トライアルでデビューすることが決まって、その後は持前の明るさとガッツで。今では、第一線で活躍してくれるまでになりました。嬉しかったですね。
ナツママ “思い出のエピソード”を聞かせてください?
成松 私が忙しくて宿題以外のメールのレスポンスが遅れてしまったときがあって。その中に、マヴェリックから「ヴァレンタインデーに奥様と食事にでかけるから一緒に行かないか」というお誘いを頂いていたときがあったんですが、確認したときには終わってしまっていたんです。
彼には謝って、上司と「行きたかったね~」と残念がっていたんですが、その後に、奥様とは無理だったんですけど、マヴェリックと一緒にご飯を食べることができました。あの時はごめんね~。
マヴェリック (チャーミングな笑顔で)大丈夫です。
ナツママ お聞きしてると、マヴェリックさんとのやりとりは、『SUDAchi』の取組みの中でも新しい体験が多かったように思いましたが、成松さんにとって彼はどんな存在ですか?
成松 そうですね。やはり、「挑戦」という意味では一番の挑戦で。(笑)
ただ彼が私たちの気持ちに必死に応えてくれて、一生懸命がんばってくれたから、私たちにとっても満足いく成果を得ることができたんだと思うんです。成功体験という意味でも彼はとても大きな存在ですね。お互いを成長させてくれるきっかけになったと思います。
ナツママ 最後にお互いに対してメッセージをお願いしたいのですが・・・。
成松 『SUDAchi』を卒業した後、自ら日本語を学んだ期間はマヴェリックにとってすごい大変だったし、がんばっていたと思うんですけど、今はまたそれと違う頑張りをしていると思うんです。ぜひ、「自分の努力で仕事を得たんだ、勝ち取ったんだ」というのを忘れずに、今のところでも新しい仕事を勝ち取ってくれたらな、と思います。
マヴェリック ありがとうございます。『SUDAchi』には、きっと新しいマヴェリックが来るかもしれない。
成松 そうだね~、来るかも、いや「来てしまう」かもしれないね~(笑)
マヴェリック そうです。だから新しいマヴェリックにも、私にしてくれたのと同じように、日本語を教えてあげてほしいです。あと・・・・・・。
ありがとうございました。本当に、とっても感謝しています。
成松 こちらこそ。ありがとうございます。
多言語センター × SUDAchi 『SUDAchi』卒業生はどんな存在?センター長にも聞いてみました
マヴェリックさんの働く多言語センターには、他にも『SUDAchi』卒業生が活躍しています。
多言語センターにとって『SUDAchi』の取組み、卒業生たちはどういった存在なのか?センター長の坂口さんにお聞きしました。
- 『SUDAchi』卒業生たちとの業務で一番印象に残っていることは何ですか?
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入社前に業務に不安を感じていた人が「私は今の仕事、大好きです。皆さんの人柄に惹かれて入社を決めましたが、入社して良かった」と言ってくれたのが嬉しくて、とても印象的でした。
- 多様な国籍の方々と仕事をする中で刺激を受けることはありますか?
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「違い」よりも「同じ」であることに刺激を受けることが多いです。早く仕事を覚えて、みんなの役に立ちたい。お客さんに喜んでもらいたい。そういう気持ちは、どんな生い立ち・国籍の方であっても変わらないということに気づかされます。
- 今後、センターの業務でどういったことを実現させたいですか?
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みんなが長く安心して働ける環境づくりを第一に、それぞれの文化を尊重し、高い目的意識を共有する国際チームにしていきたいですね。2020年に向け、多くの訪日観光客のサポートができたら、と考えています。
- 現在の多言語センターにとって、『SUDAchi』はどのような存在ですか?
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卒業生たちにとっては文字通り“古巣”であり、センターにとってもHOMEのような存在です!
巣立っていったメンバーの配属後に経過を『SUDAchi』にフィードバックするだけではなく、今後は『SUDAchi』での活躍ぶりもオペレーション現場に連携してもらって、より一層いい関係性を築いていければ、と思っています。
- 『SUDAchi』卒業生へ激励のメッセージをお願いします
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マヴェリックはじめ、皆さん努力し続ける才能の持ち主だと思います。今度は誰かの巣立ちをサポートする番!期待しています。
いかがでしたか?
多言語センターの休憩室には、お土産やおすそ分けで、いろいろな国のお菓子が置いてあるのだとか。取材した日はありませんでしたが、中華風の味付煮玉子のおすそ分けもあるんだそうで、お弁当の時間も多国籍なメニューを楽しめそうですよね。次回はぜひそういった取材をしてみたいな、と感じました。
私たちを取り巻く労働環境が変化し、一億総活躍を掲げられているなか、多様な人材が活躍ができる職場作りは、重要な課題の1つです。
当社は今後も、『SUDAchi』をはじめとして、すべての人が働きやすい環境を提供できるよう、さまざまな取り組みに全力でチャレンジしていきます。